良い戦争映画とは

夏になると戦争映画を観たくなる。

終戦記念日を意識するからだな。

 

観るのは主に第二次世界大戦を描いた映画。

その中でも日本が関与している地域を舞台に描いた作品を観るようにしてる。

 

今年も夏休みを利用して4~5本観た。

日本の作品とアメリカの作品を観たのだけど改めて気づいた事がある。

 

映画作品だから致し方無いのだろうけど、基本的には対立している国が悪者のように描いている点だ。

日本から見るアメリカは圧迫的な外交を行い、国を維持する為には開戦しか無いと切羽詰まらせる意地の悪い国家と描いている。

アメリカから見る日本は真珠湾を奇襲してきた野蛮な国家と描いている。

 

原爆についてもお互いに異なる印象になっている。

日本からすると、罪の無い一般人を大量に巻き込んだ大量虐殺兵器と受け止めているが

アメリカからすると、戦争を終結させた必要な戦略だったと描かれている。

 

感情の部分やどっちが良いか悪いかはひとまず置いておいて

一つの事象から異なった認識が生まれるという事が勉強になる。

 

戦争映画について思った事がある。

それは「面白い戦争映画」と「良い戦争映画」があるという事。

 

「面白い戦争映画」は、ストーリーが良くて感動する!とか映像に迫力がある!とか

いわゆる一般的な映画と同じ受け止め方をするもの。

 

「良い戦争映画」とは、戦争をとにかくリアルに描き切るもの。

戦争はなんて悲惨なんだ、と感じる作品を個人的には「良い戦争映画」と呼ぶようにしてる。

 

今回観た戦争映画の中で特に「良い戦争映画」と思ったのは

『野火(2015)』である。

正直に言うと観るまでは完全に知らない作品で、アマゾンプライム内でたまたま見かけて興味を持って観た作品。

 

一般的な戦争映画は大体の作品では対立する軍隊が死物狂いで戦い、その中で生まれるドラマを描いている事がほとんどだ。

 

しかしこの野火と言う作品には戦闘シーンはあまり無い。

それよりもフィリピンレイテ島での日本軍の過酷なシーンがずっと流れ続ける。

温暖な地域で植物は生い茂り、パッと見て食べ物に困らなそうである。

しかし人間が食せるものは乏しく、常に飢えた状況が続いている。

 

戦闘シーンもリアルと言えば聞こえは良いが、いわゆるグロテスクなシーンになるので耐性の無い人は注意しないといけない。

どちらかが勝った負けたではなく、戦争そのものの悲惨さを描ききった作品になっている。

こんなに後味の悪い作品は『ジョニーは戦場へ行った』以来かもしれない。

 

気になって原作の小説にまで手を出してしまった。

 

お腹いっぱい食べられるだけでも幸せな事だと言う事は忘れないようにしたい。