バガボンド≠宮本武蔵

漫画バガボンドが大好きで単行本で読みすすめてたんだけど2014年に37巻が発売されてから休載をしていて物語が進んでいない。

 

2021年6月現在まで休載していて先のストーリーが気になりすぎて原作である吉川英治著「宮本武蔵」を読むことにした。

読み始めた時のブログはこちら

今、ここ - やーたくの日記

 

およそ二ヶ月を掛けて読み終わることが出来た。

結論として言えるのはバガボンドとは全く異なるということ。

どちらが良い悪いという事では無い。

 

小説の宮本武蔵はいわば宮本武蔵オリジンであると言える。

フィクション世界に置ける宮本武蔵像を作り上げたのはこの作品なんだと思う。

ついでに佐々木小次郎も。

 

宮本武蔵のビジュアルイメージを思い浮かべると、粗野でいて汚らしい印象がある。

佐々木小次郎のビジュアルイメージを思い浮かべると、優雅でいて小ざっぱりしている印象がある。(俺だけか?)

 

恐らく宮本武蔵を題材にしたドラマなり映画なりがこの小説宮本武蔵を元にして作られているからそんなイメージを持ちやすいのだと思う。

 

この小説も元々は1935年に新聞小説として掲載されたので娯楽作品である部分が多いのかもしれない。だからこそ分かりやすいキャラクター設定が必要だったのかなとは思う。

しかしこの小説を作るだけでも宮本武蔵の残した文献等を探しまくって作品として纏めたというのは本当に素晴らしい功績だと感じる。

 

宮本武蔵が残した五輪書は様々な経営者にも愛読されていると言う。

宮本武蔵そのものの知名度を上げる事が出来たこの小説の意義はとんでもなく高いものだと思う。

 

肝心な小説の中身なんだけど、そもそも宮本武蔵は剣を通して禅も見つけた人物。つまり剣禅一如を目指した人物だと描かれている。

剣の修業をしながらこの世の真理とは何なのか、を自分に説いていく。

そういった描写が多いけど、やはり娯楽作品の部分もあるのか恋愛部分も多く描かれてもいる。途中で恋愛小説かなと思ったくらい。

 

バガボンドはこの剣禅一如の部分を更にフォーカスして作り上げようとした作品なのかもしれない。

 

主人公である武蔵の対比として幼馴染の本位田又八がいるんだと感じた。

武蔵は基本的には自分の目的を達成するため孤独、孤高であり一人でいる描写が多い。

それに対して又八は出生したいという気持ちを持ちつつも、そうなるための行動を起こすことの出来ない人間としての弱さがある。

故に誰かを傷つけたりもするものの、なんだかんだ誰かと共存して生きている描写が多い。

 

何かを成し遂げようとする人ほど孤独であり、そうでない人ほど他者と共に生きていかなければいけない。

この辺りは現代社会にも通じる部分はあるのかなと感じた。

その辺りの描写もバガボンドにもあるけど。

 

それぞれ好みはあるかもしれないけど宮本武蔵バガボンドもそれぞれの良さがある。

比較してみると、え?そいつってそんな事になるの?と感じる部分も多いけど。

 

小説を読む時の注意点としては

執筆した時代背景もあるんだろうけど割と男尊女卑の描写が多いこと。

佐々木小次郎が割とクズな性格をしていること(これは武蔵と比較して勧善懲悪の方が物語として分かりやすい為かもしれない)

 

このくらいなもんかな。

思ったよりも残虐な表現も無いのですんなり読みすすめることが出来た。ボリュームは多いけど。

 

普段小説を読む機会は少なくて今回はかなり楽しんで読めた部分が多いんだけど、少し活字から離れて漫画なんかに手を出してもっとリラックスして本を読みたいと思ってる。

Kindle Unlimitedでオススメ無いかなと探した所、真っ先に出てきたのが手塚治虫ブッダであったので衝動買いしてしまった。

漫画とは言え重そうなテーマを何故選んでしまったと自分に文句を言いながらも今後はこの作品を読みすすめていこうと思う。